雨漏りといえば屋根からポタポタと、というイメージが強いかもしれません。
現実には「まさか、こんな場所でも!?」ということも少なくありません。
一戸建ての1階の天井から雨漏りがするのは、なぜでしょうか。
雨漏りする理由や原因を見ていきましょう!
もくじ
【雨漏りの原因】雨水の侵入経路は主に4つ!
雨水の侵入経路を把握することは、修理を検討していく上でも重要です。
主な侵入箇所となるのは、
- 屋根
- 外壁
- 軒先
- ベランダ
の4つです。
それぞれ特徴が違いますので、1つずつ説明していきますね。
侵入経路①屋根
屋根の隙間から雨水が侵入して、雨漏りとなるケース。
ここで重要なのは、もともと屋根には通気性を確保するための隙間が施工されているいう点です。
屋根の隙間から屋根裏(天井裏)に、多少の雨水が入り込むのは珍しいことではありません。
問題は、水が溜まってしまうことや、入り込んだ雨水で建物の木材が腐敗してしまうこと。
猫シャッチョ
窓から雨が入ってきてその時はびしょ濡れになっても、自然に乾燥するよニャ。
本来は屋根裏も同様なのニャ!
ところが、自然な乾燥では追いつかないほどの水が溜まってしまったり、乾燥しにくい環境に悪化することで、雨漏りに発展してしまいます。
侵入経路②外壁
外壁塗装の塗膜は自然に経年劣化するので、塗料の保証期間が切れてしまったら再塗装が必要です。
劣化した塗膜は防水性や撥水性が損なわれてます。必ずしも亀裂や穴が、雨漏りの原因とは限りません。
雨水に濡れたときに、そのまま雨水を吸収してしまうことで、壁の内側に雨水を侵入させる遠因に・・・。
じわりじわりと浸みこんで、壁の内部に水が溜まるのです。
乾燥したとしても、過剰な湿気で建物の内部に結露が発生しやすくなるため、黒カビが繁殖しやすくなります。
室内に水滴が落下していなくても、天井や壁に黒いシミが発生するため、建物の老朽化と勘違いすることも。
外壁を触ってみて、指先に白い粉が付着したとしたら、劣化した塗膜の効果現象です。
早めに再塗装を検討しましょう。
侵入経路③軒先
軒先は通気孔が施工されていたり、メンテナンスのための出入り口が設計されていることもあるため、密閉空間とは限りません。
台風などの暴風を伴う雨の日に、あらゆる方向から雨が当たることで、思いがけない雨水の侵入となります。
軒先は雨水の侵入を想定していない設計なので、入り込んだ雨水は自然に乾燥するほかありません。
けれども、よほど数日間ずっと暴風雨が続くような天候でない限り、雨漏りにはつながらないのです。
やはり、雨水の侵入が慢性化するほど孔が大きくなっていたり、建物の内部で腐敗が進んでいるなど、複数の原因が重なることで雨漏りが発生します。
侵入経路④ベランダ
ベランダは雨が入り込まないように工夫されていても、自然に雨水が当たってしまいます。
そのため、ベランダも屋根と同様に防水施工が必要!
防水性は自然に経年劣化しますので、再塗装屋リフォームが必要になります。
ベランダに破損個所や亀裂が発生していなくても、弱まった防水性のために雨水が浸透してしまい、結果的に建物の内部に雨水が侵入することも・・・。
【注意】建物の内部で雨水が流れている場合は危険!
屋根や外壁から建物の内部に雨水が侵入すると、建物の内部構造を伝わり、壁材、柱、梁など、ありとあらゆる部分に水が伝播していきます。
仮に屋根に穴が開いていて、そこから雨水が侵入したとしても、穴の真下で雨漏りが発生するとは限りません。
建物の内部で、雨水がどこに落ち着くかがポイント。
溜まった水が時間をかけて、天板や壁材、壁紙を傷めていきます。
最終的に、ダメージの大きな箇所で亀裂が発生して、そこから水滴が室内に落下していくことに・・・。
一戸建ての石こうボードは一度濡れたら大変なことに!
一戸建ての壁材の内部に石こうボードが施工されていると、雨漏りは厳禁です。
石こうボードは、濡れてしまうと耐久性が損なわれてしまいます。
\乾燥しても強度が回復しません/
水に濡れないことを前提に施工してあるため、雨漏り対策そのものが存在していないのと同じなのです。
石こうボードを使用して施工してある木造建築の一戸建てでは、雨漏りが一回でも発生したら、リフォームが必要と思っておいて良いでしょう。
一度でも濡れてしまったことのある石こうボードは、最初は吸水性を発揮して雨漏りを遅らせてくれますが、やがて吸水しきれなくなると水の流れを止められない状態に。
室内からは見えない箇所なので分かりにくいですが、1階の天井で雨漏りしている時点で、石こうボードはボロボロです。
防水シートが破けている場合も注意!
屋根裏や天井裏に防水シートが施工されていれば、シートの下には雨水は浸透していきません。
防水シートの上で雨水が止まります。
一時的には水が溜まった状態になりますが、自然に乾燥すれば問題ありません。
防水シートは、外壁塗装の塗膜と同様に、自然な経年劣化で効果現象を起こすことがあります。
硬化した防水シートは、水分を吸収するようになっていくため、過剰な湿度や黒カビの原因につながっていくため、屋根裏や天井裏の環境は悪化・・・。
吸水による過剰な湿度で、結露も発生しやすい状態に。
防水シートの経年劣化は、いくつもの要因を織り交ぜた雨漏りにつながっていくのです。
水を吸収できない素材は、水が流れていくから危険!
防水シートをはじめ、水を吸収できない素材があれば、入り込んだ雨水は流れていくしかなく、低い場所へと流れていきます。
結果的に2階の屋根裏から侵入した雨水が、防水シートの上をすべるように流れて進み、1階へと壁材や柱を伝わっていくことに・・・
壁紙は湿気で柔らかくなると、破けやすくなる性質があります。
普段から湿度が高い環境ほど、壁紙が破けやすく、雨漏りが発生しやすくなるのです!
猫シャッチョ
太陽光や風が乾燥しやすい2階よりも、乾燥しにくい1階のほうが、室内への水滴の落下現象が起こりやすいのです。
雨漏り対応で抑えておきたいポイント!
雨漏りを止めようと対処しても思いがけない落とし穴が!
例えば、室内への水滴の落下を止めるために、天井の亀裂を塞いだとします。
すると、行き場を失った雨水は、別の場所へと流れるようになってしまうことも・・・
ここでは、雨漏り対応をする時のポイントをご紹介します。
本当の意味で雨漏り修理が完了すると?
雨漏り修理が完了すれば、室内には水滴が落下してきません。
別の言い方をすると、「たとえ天井や壁紙に穴が開いた状態のままでも、室内には水滴が落下してこない」ことを意味します。
天井・壁紙の穴から水滴が室内に落ちるのは、雨漏りの最終段階です。
雨は、いきなり室内には落ちてきません。
「屋根・外壁」と「天井・内壁」の構造に守られています。さらに「天井板・壁紙」で守られています。
本当の意味で「雨漏り修理が完了」していると言えるのは、「屋根と外壁で建物を守っている」状態です。
天井や壁紙の「内装」だけで雨漏りを防いでいるのは、修理が未完成の状態であり、雨漏りが続いていることを意味しています。
1.初期症状
まずは屋外だけで「雨漏り」が発生します。
- 屋根板の表面
- 外壁材の表面
に穴や亀裂が発生したり、劣化した素材に雨が吸収されて雨水が入り込みます。
この段階での雨水は、
- 屋根板は通過したが、その下の屋根材は通過していない。
- 外壁材は通過したが、内壁材は通過していない。
ですから、まだ室内には水滴が落ちませんし、建物の構造体である柱や梁も濡れていません。
室内にも建物の構造体にも水滴が落ちていない状態での「雨漏り」です。
2.次の段階
- 屋根材を通過したが、防水シート・天井板は通過していない
- 内壁材を通過したが、防水シート・断熱材・室内側の壁材は通過していない
ここでようやく建物の構造に雨漏りが及んでいることに!
柱や梁が濡れはじめます。
柱や梁を伝わって、思いもよらないような場所へ水が流れていく可能性が出てきます。
けれども、まだ防水シートや天井板・室内側の壁材で防いでいます。
室内に水滴は落下していませんが、雨漏りの状態です。
3.さらに先の段階へ
- 屋根板、屋根材、防水シートをすべて通過
- 外壁材、内壁材、断熱材を通過
このとき、かろうじて屋内の「壁紙」だけで雨水を防いでいる状態になります。
雨の日には「ポタッポタッ」と、天井板や壁紙の「すぐ向こう」で音が聞こえるでしょう。
屋外の雨音とは比較にならないほど、ハッキリとした大きな「ポタッ」という音が響く、深刻な雨漏りの状態です。
4.最終段階
- 天井板を通過する
- 壁紙を通過する
天井板も壁紙も、あくまでも「内装」の範囲です。
天井板や壁紙すなわち「内装」を通過して、雨水が室内に落下してきたら、最終段階です。
そのまま放置していると、建物の老朽化が促進されて、木材の腐敗が進行してしまいます。
室内で雨漏り被害が発生します。
本当の意味での雨漏り修理は、あくまでも建物の外装で行われます。
屋根板・屋根材を雨水が通過しないようにすること。外壁材を雨水が通過しないようにすること。
そうすれば、建物の内部には雨水が入りません。
建物の内部に雨水が入っていないのですから、天井板や壁紙に穴や亀裂があったとしても、室内に雨水が落下するわけがないのです。
もしも、壁紙の穴や亀裂をふさがなければ水滴が室内に落下してしまうのなら、それは「雨漏りしている状態」です。
たとえ、壁紙の穴や亀裂がふさがっていて水滴が室内に落下していないのだとしても、「雨漏りが修理されていない」ことになります。
外装の修理が未完成のままでは、雨漏りは続きます。
室内の穴や亀裂があると見栄えが良くありませんので、修理をします。それは、あくまでも内装の修理です。
室内で見えている穴や亀裂を塞ぐのは、いわゆる「美装」であり、内装の仕上げです。
雨漏り修理を室内ですませるのは応急処置!
あくまでも雨漏りの修理は、屋外で作業をして完了します。
室内で作業をするのは、
- 落下し続ける水滴から室内や家財を守るための応急処置
- 屋外の工事が済んだので、最後に室内を美しい内装に整えて仕上げる
というのが背景にあります。
雨漏りが発生して、「水の流れを確認します」と言って業者がチェックするのはGOOD!。
けれども、室内だけの工事で済ませられてしまったなら危険。
「あくまでも応急処置です」もしくは「工事が完了したので美装仕上げをしますね」というのでない限り、室内で施工するのは応急処置なのだと覚えておきましょう。
穴を塞ぐだけなら水別の場所に移動する!
雨漏りは一刻も早く解決したい状況。
ですが、安易に室内の「穴」「孔」を塞いでしまうと、今まで流れ落ちていた雨水が別の場所に移動するだけ。
そのような状況では、やがて雨水は下へ下へと移動して、1階にダメージをもたらしてしまいます。
2階の雨漏りこそ正確に原因の究明を!
雨漏りの原因がわかれば、予算と日程に応じて修理修繕工事を行いましょう。
雨漏りしているからといって、すぐに建物が倒壊するわけではありません。
予算の都合で割り切るのであれば、応急処置にもメリットがあります。
ただし、応急処置で「室内への水滴落下」を止めた場合は、建物の内部で水の流れが別な場所へと移動していきますので、早めに修理修繕工事を行いましょう。
2階で発生した雨漏りは、むしろチャンスです^^
雨漏り被害はチャンスどころか悲劇でしかありませんが、どこに問題があるのかを究明する絶好の機会にできます。
まとめ
一戸建ては、建物の内部に多少の雨が入り込んでも、自然に乾燥して雨漏りなど重大な事態にならないように設計されています。
施工ミスがない限り、雨漏りは簡単には発生しません。
ただし、経年劣化で防水性や撥水性が損なわれた個所から雨水が浸みこんでくれば、たちまち水が溜まるようになり、思いがけない雨漏り発生につながります。
室内に水滴が落下するのは、ほぼほぼ最終段階です。さまざまな要因が重なったうえで、吸水と防水と乾燥が追いつかなくなり発生します。
応急処置は、将来必ず修理修繕を行うからこそ意義があります。
応急処置だけで済ませてしまうと、雨漏りが「見える場所=水滴の落下」が別の場所に変わるだけです。
建物の内部で、どのように水が流れているのか原因を調査してくれる業者さんを選びましょう。
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